代償性発汗とは ETSにより
胸・背中・腰・臀部・大腿・下肢など
脇より下方の体の汗が増える現象です。
少しからだの汗が増える位なら
問題はないのですが、
ETSの手術の仕方によっては、
相当多く汗がでる体になることがあり
多汗症の手術の副作用となっています。
ETSによって必ず生じるという医師もいますが、そうではありません。
全く代償性発汗を感じなかったという人もいます。
しかし、代償性発汗が強く出た場合の治療は
難しくなる場合があります。
今年の夏は猛暑であったことも影響し、
他院で両側同時の手術を受けた患者様からの
代償性発汗のお問い合わせが、非常に多くありました。
手術を担当したその病院が
代償性発汗の治療に取り組んで
いないことが原因と考えられますが、
その病院を選択して手術を受けた
患者様にも原因があります。
当院では、代償性発汗に対する配慮から、
初回手術では片側の手術を行っています。
これにより、著しい代償性発汗は激減し、
反対側の治療の際に、より良い手術
が可能となります。
当院の過去の患者様の術後調査及び
両側同時の手術を受けた患者様の
代償性発汗の治療の経験と実績から
代償性発汗の病態に対して
一定の理解に達しております。
これに基づき
代償性発汗に対して積極的な
対策を行っています。
実績として
2009年8月から2010年9月までに
当院で手術を受けた患者様(682例)
の術後3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月間の
術後アンケートでは
代償性発汗が強く現れたために
再びこの手術は受けないと回答された患者様は
ありませんでした。
すなわち、2010年の猛暑を
経過した時点で
手術を後悔するほどの代償性発汗
にはならずにすんだということになります。
現時点でも、当院の手術における
強い代償性発汗の発生のリスクは
0%とは考えていません。
多汗症の手術を受けるのであれば
当院の治療の進め方でお受けください。
しかしながら、当院の治療の進め方と異なる
他施設の患者様のお問い合わせについては
件数が余りに多く対応いたしかねますので
ご遠慮ください。
代償性発汗に対する留意点
ETSで手術する交感神経の部位に関係しています。
したがって、代償性発汗にすでに困っている人でも
切除設定を見直すことにより改善できるといえます。
「代償性発汗は一度そうなったらどうすることもできない。」
というのではありません。
しかし、これからETSの手術を受けようとする人は
代償性発汗についてよく理解してから
ETSを受ける必要があります。
代償性発汗の範囲は上述の通りですが、
その程度はさまざまで、
他人から見れば大した汗ではなくても
当人はすごく嫌がっている場合もあれば、
その逆もあります。
また、手や脇の汗がETSで減少した分だけ
代償性発汗になるというではありません。
(一部の医療施設のホームページに
記述されているようなものでもありません。)
要するに、
代償性発汗は、術前の汗の量に関係していません。
多汗症ででる汗が多くても、術後
代償性発汗は全く無かったという人も
いれば、その反対の人もいます。
代償性発汗の程度というのは、
その人なりに感じる程度に違いがあり
「どの程度汗が増えればどの程度嫌に思うか?」
ということはなかなかETSの前にはわからないものです。
よくETSの前に患者様から質問がされました。
「代償性発汗とはどの程度の汗がでるのですか?」
このため代償性発汗で困っている患者さまの
汗の量を測定してきましたが、
過去当院で最大値を示したのは
背中の中央部が最大で3.3mg/cm2/minでした。
この量は、通常の人でも夏の暑い日に
背中にでることは特に珍しくありません。
したがって、代償性発汗により
汗が何倍にも何十倍にも勢いが強くなるようなことを
ネット上に書き込む人がいますが正しくありません。
むしろ、代償性発汗は発汗の勢いに限るものではなく
発汗が始まるタイミングや一日の回数などが増えるため
日常生活に支障がでると理解する必要があります。
気温が25度くらいでも汗が出始めたり、
一日何度も着替えをすることになると
大変となることは明らかです。
一方、元々の手の多汗症や顔・脇の多汗も日常生活を害します。
ETSの手術が患者様の生活の改善になるためには、
ETSを両側同時に行うのではなく、
まず片側を受け体に現れる利益・不利益をよく見極めることが大切となります。
当院では、ETSの手術中に交感神経に対して電気刺激試験を行い
術後の代償性発汗と照らし合わせてきました。
当院では最初の手術ではT3・4・5などの切除を行う際に
代償性発汗を呼び出す可能性の高い
交感神経はなるべく手術しないようにします。
一回目の術後の代償性発汗の部位と程度に基づいて
二回目の手術はさらに代償性発汗を呼び出さないように取り組みます。
しかしながら、患者様が感じられる汗の
多いあるいは少ないの評価も
さまざまですので患者様に
必ず満足していただけるとは言えないのです。
この様に当院では手術を進めますが、
多汗症の手術治療では
患者さまも代償性発汗という副作用のリスクを常に念頭に入れて
患者様と主治医がともに良い治療となるよう取り組む
必要があります。
当院では、代償性発汗の病態解明を進め、
すでにリバーサル手術において代償性発汗の
治癒・改善を実証しています。
ETSを受けるのであれば、
代償性発汗に取り組む
知識・経験・能力のある
治療施設の選択が必要です。
これからETSを受ける患者さまへ
ETSでは代償性発汗という良くない作用があり、手術の仕方によっては出るときは激しい場合があります。
当院では代償性発汗の治療を行なうことが出来るようになった現段階の技術力であっても
初回治療で全くに代償性発汗がでない治療は出来ておりません。
この点に関しては代償性発汗があった場合に、
患者様としてどの程度から不満足になるかが術前に想定できないためです。
下方遮断T4以下の遮断で代償性発汗が無視できるとする医師もいますが、効果も乏しい上に
代償性発汗がでるときには出ます。
T4でうければ副作用はないと安直に考えてはいけません。
クリップ術などのようにクリップをはずせば、元に戻るというものではありません。
手術を受けるときには代償性発汗もあり得るということを考えに入れて
それでも多汗症の治療の有用性・必要性があるかどうかの検討をしてください。
多汗症の治療を受ける際には、代償性発汗に対する治療の実績をしらべることも肝要です。
今後の展望
現在、代償性発汗にクリップ術が有効としている医師がいますが、
単にクリップの除去では代償性発汗の多くは解決しません。
クリップ除去術を受けてさえ治まらなかった患者さまに対して
当院の手術の有効性をしめせるか検討します。
。


2006年10月11日 21:37:11 掲載開始
2008年4月12日 更新
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