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リバーサル手術をお受けになった患者様の体験談(コメント)を一覧できるように致しました。
全ての患者さまは当院ではなく他の施設でETSをお受けになった方々で
初回に両側のETSをなさっております。
当院の方針
今後はしばらくの間は代償性発汗の手術の最終的な説明の際には
複数の患者さまに立ち会っていただく事にしました。
手術をお受けになる患者さまの術前の状態と術後経過が明らかになり
当院で行う代償性発汗の治療成績が示されるようになります。
これからは、代償性発汗の治療経過が明示され、当院の治療の有効性が多くの人々により
証明されることになります。
●既に代償性発汗に困っている方々へ
ホットライン
お問い合わせ電話 090-2386-9313 山本英博
この pageの目的
胸部交感神経遮断あるいは切除術(ETS)に伴う代償性(反射性)発汗
(sweating, 以下CSと略す)の発生予防・解決方法。
リバーサル手術に対する私の取り組みを述べ、代償性発汗の解決法と
今後の展望を述べて行きたいと思います。
現在、代償性発汗の治療で保険承認されている治療法はありませんが、
海外では遮断した部分を別の自家神経移植により再生を促すリバーサル手術が行われています。
海外のリバーサル手術では代償性発汗が改善するだけでなく、手の発汗が戻ってしまいます。
海外の手術のコンセプトを以下に示します。
- 下腿あるいは肋間神経を用いてETSにおいて切除したT2の部位に見合う長さだけ取り出す。
- T2の部位で神経の断端を露出し取り出してきた神経の自家神経移植を行う。
- 移植される神経片は縫合あるいはフィブリン糊などで愛護的に固定する。
このリバーサル手術はETSで切断した神経を完全に移植した神経で再生を図るものでした。
2004年の国際学会ではT2の再建に第二肋骨の肋間神経を約3センチ程度を剥離したのち
切断しT2の頭側の断端につき合わせて固定する手術がなされていました。
このリバーサル手術もT2の再建を図ることには変わりませんが、
移植神経片の吻合部分が1箇所ですむので再生する率が向上することが期待されます。
前者の手術成績では40%前後の有効性が報告されていますが、後者は術後成績の報告はまだされていません。
神経片の移植は、その他の領域で多く行われており、甲状腺がんや食道がんの手術で声帯にいく反回神経を切除した場合に神経片移植術が行われています。有効性は30−40%の報告が多く見られます。
しかしながら、自家神経片を下腿あるいは肋間神経を用いた場合にはとり出した神経がつかさどっていた領域の感覚障害が発生します。
CSが改善してもしなくても感覚障害は残ります。
小生が2000年7月に行ったのは、多汗症の患者ではなく交感神経の腫瘍の患者様です。
病歴・病態を略記します。
- 患者様の主症状は、背中の汗が増加して困るというものでした。
- 精密検査の後、前述の病変が発見されました。
- 第1から第2胸部交感神経節に発生した神経腫瘍のため交感神経が機能しなくなり
ETSを受けた状態と同様に体の汗が増加したと考えられました。
交感神経腫瘍ですから切除することになったわけですが、
単に交感神経腫瘍を切除したのでは背中の汗が減少することは期待できません。
以下に手術のコンセプトを示します。
- 腫瘍が大きさから判断してこの手術は内視鏡ではなく一般的な開胸術でおこないました。
- 開胸は第四肋間で行い、開胸部の肋間神経を3センチ採取しました。
- 腫瘍切除と同時に採取した肋間神経でリバーサル手術を行いました。
背中の発汗は術後まもなくから改善し、術後3カ月経過後には明確な改善がみられました。
小生は、この経過から神経片の再移植手術の有効性を実感しております。
現在の術式
現在は、ETSでは第3・4・5の交感神経幹の遮断を行っており、
T345のレベルから交感神経を取り出しT2へ自家神経移植を行います(図1・2・3)。

図1
通常T2を遮断された部分には胸膜肺癒着があり剥離に時間を要する。

図2
T3・4・5レベルには奇静脈など太い血管が存在し交感神経の摘出が不可能な場合もある。
この場合には手術は見合わせになる。

図3
T3・4・5レベルから神経を摘出できれば(図は4・5を摘出している)T2への神経移植が可能となる。
以上のように、手のひら多汗症で第二交感神経幹(T2)の切除のみが行われている患者様ではT3・4・5を採取しT2への再建は技術的に可能です。
2000年に小生が考案しました。
肋間神経を採取するのではないため、感覚障害はなくてすみかつ手の汗はリバーサル手術後も抑制された状態となります。
これまでに代償性発汗の解決を目指して13例に行いました。
代償性発汗の改善がおおむね有効性は40%にみられました。
ただ、このリバーサル手術はETS前の状態に体を戻す手術ではありません。
ETS術前の手のひら多汗症のときと比較すると手の汗は停止あるいは減少した状態です。
手の汗が出てくる手術ではありません。
そのため、良い点と悪い点について十分な理解ができてのち手術を検討してください。
更新(2007年1月28日)
当院のリバーサル手術を平成18年に受けた患者さまの体験談を掲載します。
(小生に送られたメールでのお便りとなっております。
年月については慣例に従って**で変換しております。)
山本英博先生
私のETS手術からリバーサル手術に至る概略と現況をご報告いたします。
私は顔面頭部の発汗で永年悩んでいたのですが、インターネットでETS手術(交感神経手術)を知り色々と調べました。
ある時、新大阪の兼平・山本クリニックのホームページを見つけて「多汗症教室」へ参加いたしました。
そこでは手掌での多汗症を訴える方が多数で、私のように顔面頭部の多汗に対しては手術による改善成績が若干劣ること、代償性発汗等の副作用も確率が高い等詳しく説明していただきました。
当時はそれでも顔面頭部の多汗を少しでも抑えることができるのであればと、2002年*月に右側ETS手術を受けました。
術後すぐに効果が現れ、まるで線を引いたかのように顔面頭部の右半分について発汗が止まり本当に感動したものです。
同時に右掌についてもここまで発汗停止しなくてもと思うほど汗が出なくなりました。
そもそも私の場合、手掌の多汗では悩んでいなかったため、紙が掴みにくくなったという不便さを感じたくらいです。
また、事前に説明を受けた代償性発汗は、足の裏、太股の裏側等に若干あるものの、思ったほど酷くなく安心していました。
同年ひと夏の経過を見て、これならばと左側ETS手術を2002年**月に受け、永年悩んでいた汗が止まるという快適な日々を過ごしていました。
ところが、2004年夏頃から、胸、背中の発汗が徐々に増え始めました。私自身はネクタイ、スーツを着用(夏季は上着なし)する仕事なので、段々外出するのが苦痛になってきました。
2005年頃は、ひとたび外出すれば、ワイシャツの胸部、背中がびしょ濡れになり、一日に何度も着替えないといけないことが多々ありました。
更に代償性発汗が進行したのか、冷房の効いた会社内でじっと座ったままデスクワークをしていても、常に胸部(鳩尾付近)と背中から発汗が続き肌が湿った状態が続きました。
2006年には顔面、頭部の発汗も戻りはじめ、何のためにETS手術を受けたのだろうと後悔しはじめました。
事前に代償性発汗のことは聞いており納得していたつもりでも、本当に辛い毎日でした。
またインターネットを通じて代償性発汗で悩んでいる方が自分以外にも沢山いらっしゃることを同時に知りました。
2006年11月、山本クリニックのホームページに「既に代償性発汗に困っている方々へ」とホットラインが設けられているのを目にして、藁にもすがる思いで山本先生に電話をさせていただきました。
とにかく一度見せてくださいと先生に促され、神戸の協和病院で症状を詳しく診ていただきました。
私の場合、T3を半分程度遮断されているらしく、T4・5の交感神経を遮断部位に繋げると代償性発汗が改善される可能性があると言われました。
何も手を打たないでこのまま代償性発汗で悩み続けるのか、可能性に賭けるのか答えはひとつでした。
2006年**月中旬、右側リバーサル手術を受け、約一月が経過した現況を報告いたします。
右側の胸部、背中、顔面頭部の発汗は術後すぐに驚くほど減少しました。その分、若干ですが足の裏、脚の付け根付近の発汗が増えたように思います。
左半分の胸部、背中、顔面頭部については、食後、入浴後等に従前通り発汗が続き、Tシャツが濡れているとハッキリ判るほどです。
元々、ETS手術前も暑い季節だけでなく、冬の寒い外部から暖房が効いた場所に入った途端、頭部から驚くほどの発汗があり、髪(とくに襟足付近)は風呂上がりのように濡れる多汗症でした。
ETS手術では腋窩1箇所のみの切開でしたが、リバーサル手術では体側部にもう1箇所切開箇所があり、ごく僅かですが傷跡が残っています。
術後の疼痛に対して、3日分の痛み止めが処方されていましたが、それ以降3〜4日ほどは鎮痛剤が必要な痛みが続きました。巧く表現できないのですが、肋間に「痛い」と「痒い」を合わせたような「痛痒い」感覚が今も続いています。但し、少しずつですが確実に減少傾向にあります。
まだリバーサル手術は右側だけで、代償性発汗がすべて解決したわけではないですが、希望が見えてきたと思います。
何年後かに別の代償性発汗が発現するのではないかとの不安は正直あります。
もしそうなっても山本先生に相談して切り抜けていこうと思います。本当にありがとうございました。
最後に、現在リバーサルの手術例はまだ少ないようですが、代償性発汗で悩まれている方は一度病院で相談されることをお勧めいたします。
決して私のケースが代償性発汗で悩まれている方全員に当てはまるとは思っておりませんが、一人で諦めてしまうことはないと思います。
少しでも私のケースが代償性発汗で悩まれている方の参考になればと考えペンを取らせて頂きました。
2007年1月
今後、時間の許す限り内容を充実する予定です。

2006年10月11日 21:37:11 掲載開始
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