ETS後に生じる代償性発汗の程度はさまざまですが、
病的に多量の場合には治療が可能です。
たくさんのETSおよび代償性発汗の治療経験から
当院は独力で病態の解明を行ってきました。
このページでは代償性発汗の取り組みとして
リバーサル手術について記述します。
体験談
当院でのリバーサルを受けた方からのメール:
(術後7日)
こんにちは!
このところの汗の様子をお知らせします。
少しだけ気温が、下がってきたとは思いますが、
1.2週間前の外出や家での行動と同じ事をしてみて
汗の威力が、すこし衰えたように思え
すごく楽になってきました。
昨年の夏と比べれば もう雲泥の差が、
あり本当に嬉しいです。 ありがとうございます。
汗が多いのは 背中 膝からでる汗が、多いです。
ですが…汗が減ったと実感出来ることが
あれっという感じで差をここ2〜3日? でしょうか
本当にありがとうございます。
先生が 難しい私の体質に付き合ってくださり
本当に感謝しています。
まだTシャツ 一枚は難しく
観察を続けて また相談させてください。
右側の手術も 時期をみてお願いしたいと考えています。
では また連絡します。
失礼いたします。
(術後一ヶ月)
山本先生 こんにちは 1ヶ月後の近況 お知らせします。
汗の量は 今の季節下では かなり減りました。
ありがとうございます。
特に 前面が上下半身共 減りました。
背中の汗は、思っていたより早い段階で かきはじめます。
しかし 量が今のところ少ないのとしっこさが軽くなって
助かっています。
エアコンの温度にすごく反応してくれるようにもなりました。
以前は 一度汗が出始めると…20分近く 流れ続けて
本当に困りましたが…今は 温度の上下に敏感になり
汗もひいていくようになりました。
汗の順番は背中−お腹膝下−お尻−
太もも後ろでしょうか?
本当に 熱さを感じると残念ながら全身
下半身からもすっごい汗を
かくのだなぁ〜とも感じているので
これから夏に向けて どうなのかと
心配はすごくありますが… 今の段階では
あれこれ無理だと思っていた普通人が普通に
出来ている事が、出来る喜びを感じています。
今までは 一年中汗で悩まされていましたが
季節によっては 困らない時期が、できたように思います。
まだ自分の身体が、把握できていないため
不安は大きいですが 確実に楽になっています。
リバーサル手術を受ける事が出来て
本当によかったです。
ありがとうございました。
今後もよくよく観察しながら
また相談させていただきます。
よろしくお願いします。
リバーサル手術をお受けになった患者様の体験談(コメント)を一覧できるように致しました。
全ての患者さまは当院ではなく他の施設でETSをお受けになった方々です。
厳しい代償性発汗の患者さまに共通するものとして初回に両側のETSをなさっております。
当院の方針
今後はしばらくの間は代償性発汗の手術の最終的な説明の際には
複数の患者さまに立ち会っていただく事にしました。
手術をお受けになる患者さまの術前の状態と術後経過が明らかになり
当院で行う代償性発汗の治療成績が示されるようになります。
これからは、代償性発汗の治療経過が明示され、当院の治療の有効性が多くの人々により
証明されることになります。
( 代償性発汗の治療は保険診療ではなく自費診療です。)
Q and A
費用は前回手術のないようによって異なりますが、当院の方針として
全く効果が得られない場合には、全額返金します。
これまで当院で代償性発汗の治療を受けた患者様で効果が全くなかった方はおられません。
少しでも代償性発汗の改善を希望される方には、効果が期待できます。
●既に代償性発汗に困っている方々へ
ホットライン
お問い合わせ電話 090-2386-9313 山本英博
(当院の患者さまのみ対応します。)
この pageの目的
胸部交感神経遮断あるいは切除術(ETS)に伴う代償性(反射性)発汗
(sweating, 以下CSと略す)の発生予防・解決方法。
リバーサル手術に対する私の取り組みを述べ、代償性発汗の解決法と
今後の展望を述べて行きたいと思います。
現在、代償性発汗の治療で保険承認されている治療法はありませんが、
海外では遮断した部分を別の自家神経移植により再生を促すリバーサル手術が行われています。
海外のリバーサル手術では代償性発汗が改善するだけでなく、手の発汗が戻ってしまいます。
海外の手術のコンセプトを以下に示します。
- 下腿あるいは肋間神経を用いてETSにおいて切除したT2の部位に見合う長さだけ取り出す。
- T2の部位で神経の断端を露出し取り出してきた神経の自家神経移植を行う。
- 移植される神経片は縫合あるいはフィブリン糊などで愛護的に固定する。
このリバーサル手術はETSで切断した神経を完全に移植した神経で再生を図るものでした。
2004年の国際学会ではT2の再建に第二肋骨の肋間神経を約3センチ程度を剥離したのち
切断しT2の頭側の断端につき合わせて固定する手術がなされていました。
このリバーサル手術もT2の再建を図ることには変わりませんが、
移植神経片の吻合部分が1箇所ですむので再生する率が向上することが期待されます。
前者の手術成績では40%前後の有効性が報告されていますが、後者は術後成績の報告はまだされていません。
神経片の移植は、その他の領域で多く行われており、甲状腺がんや食道がんの手術で声帯にいく反回神経を切除した場合に神経片移植術が行われています。有効性は30−40%の報告が多く見られます。
しかしながら、自家神経片を下腿あるいは肋間神経を用いた場合にはとり出した神経がつかさどっていた領域の感覚障害が発生します。
CSが改善してもしなくても感覚障害は残ります。
小生が2000年7月に行ったのは、多汗症の患者ではなく交感神経の腫瘍の患者様です。
病歴・病態を略記します。
- 患者様の主症状は、背中の汗が増加して困るというものでした。
- 精密検査の後、前述の病変が発見されました。
- 第1から第2胸部交感神経節に発生した神経腫瘍のため交感神経が機能しなくなり
ETSを受けた状態と同様に体の汗が増加したと考えられました。
交感神経腫瘍ですから切除することになったわけですが、
単に交感神経腫瘍を切除したのでは背中の汗が減少することは期待できません。
以下に手術のコンセプトを示します。
- 腫瘍が大きさから判断してこの手術は内視鏡ではなく一般的な開胸術でおこないました。
- 開胸は第四肋間で行い、開胸部の肋間神経を3センチ採取しました。
- 腫瘍切除と同時に採取した肋間神経でリバーサル手術を行いました。
背中の発汗は術後まもなくから改善し、術後3カ月経過後には明確な改善がみられました。
小生は、この経過から神経片の再移植手術の有効性を実感しております。
現在の術式
現在は、ETSでは第3・4・5の交感神経幹の遮断を行っており、
T345のレベルから交感神経を取り出しT2へ自家神経移植を行います(図1・2・3)。

図1
通常T2を遮断された部分には胸膜肺癒着があり剥離に時間を要する。

図2
T3・4・5レベルには奇静脈など太い血管が存在し交感神経の摘出が不可能な場合もある。
この場合には手術は見合わせになる。

図3
T3・4・5レベルから神経を摘出できれば(図は4・5を摘出している)T2への神経移植が可能となる。
以上のように、手のひら多汗症で第二交感神経幹(T2)の切除のみが行われている患者様ではT3・4・5を採取しT2への再建は技術的に可能です。
2000年に小生が考案しました。
肋間神経を採取するのではないため、感覚障害はなくてすみかつ手の汗はリバーサル手術後も抑制された状態となります。
これまでに代償性発汗の解決を目指して13例に行いました。
代償性発汗の改善がおおむね有効性は40%にみられました。
ただ、このリバーサル手術はETS前の状態に体を戻す手術ではありません。
ETS術前の手のひら多汗症のときと比較すると手の汗は停止あるいは減少した状態です。
手の汗が出てくる手術ではありません。
そのため、良い点と悪い点について十分な理解ができてのち手術を検討してください。

2006年10月11日 21:37:11 掲載開始
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