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このページではクリップ術についてコメントいたします。




●既に代償性発汗に困っている方々へ
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お問い合わせ電話 090-2386-9313 山本英博


 この pageの目的

 胸部交感神経遮断あるいは切除術(ETS)に対するクリップ手術に対する
小生のコメントを述べ
たいと思います。

クリップ法(クランプ法)とは


クリップで胸部交感神経を挟むと交感神経の働きがおさえられ

手のひらの発汗の減少が期待されます。

このクリップ手術後、代償性発汗が厳しい場合

後からクリップ除去手術を受けると

神経は元通りになり

代償性発汗が無くなるというコンセプトの手術です。


 

 

しかし、この方法には二つの問題点があります。

 

第一にクリップの除去を行うことを念頭においているため、

交感神経幹を完全に遮断するほどの強さで締め付けていないため

クリップがかかっているにもかかわらず効果が出ない場合があります。

(クリップが脱落する場合もあります。)

第二にクリップを除去する手術が極めて困難なことです。

時間が経過するとクリップ除去を希望しても、

クリップ周囲には肺の癒着や血管増生のためクリップが組織内に埋没してしまい、

クリップの所在がわからなくなります。肺の癒着や血管の増生などもともない技術的に

クリップを見つけることさえ困難になります。

実際は交感神経幹や伴走血管の解剖も不明となっていることが少なくありません。


このような状況で交感神経幹を傷つけずにクリップの除去をすることは

極めて困難であるということです。

(皮膚の直下に埋没した3ミリ程度の異物を直視下に取り出すことでさえ

困難な場合があり、内視鏡と長い胸腔鏡鉗子を操作して交感神経幹を温存して

3ミリのクリップを取り除くのはさらに困難となる。クリップ摘出操作そのもので

交感神経幹を切断してしまうことも十分にあり、安全確実にクリップを摘出する

ことは期待できない。さらに、交感神経幹を温存してクリップが摘出

できたとしても術後30日程度経過してしまうと神経が戻らなくなってしまい

摘出術の意味がなくなる。)


クリップの除去ができたとしても、クリップを取りはずす際に交感神経幹

そのものを損傷した場合ではよりいっそうの代償生発汗の悪化さえ生じます。


クリップの除去の困難さとその手術侵襲を経験すれば

容易にはクリップ術は行えないと思われます。

このようなことから、クリップ術を行った担当医でさえクリップ除去の手術

を断るケースもありました。

このような背景から、

患者様自身から私どものクリニックへ除去手術を希望されるケースがありました。

クリップを外しさえすれば代償性発汗は無くなるという意味の

(医師の)術前説明が必ずしも正しいものではなかったことを

感じている患者様がいます。

 

以上の理由から、クリップ術を一件も行っておりません。


クリップ除去術も対応いたしかねます。

クリップ術の執刀医にご相談ください。








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2006年10月11日 21:37:11 掲載開始
2007年8月10日 更新